2018年心に残った映画を語ろう(ネタバレ注意)

Twitterハッシュタグに#○○年映画ベスト10というのあるのを知ってる人も多いと思います。

要するにその年自分が見た映画で好きなものを挙げる(ランキングする)っていうやつなんですけど、他の人の見ると全く被るってこともそうそうないので面白いですよね。

そんなわけで2018年のマイランキングはこちら。

体調の不調もあって見た作品はわずかでしたけど、ほとんどの作品が自分にとっていい作品だったのが幸い。

これを呟いて数ヶ月たったので、改めて特に頭や心から離れない作品について語ります。

ほらまだ年度末だし。

改元前だし。

 

この先、各作品の結末や核心に触れているので、閲覧には注意してください。

 

スリービルボード(原題:「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri」)

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監督・脚本など マーティン・マクドナー

キャスト フランシス・マクドーマンド

               ウディ・ハレルソン

               サム・ロックウェル

 

あらすじ(公式サイトから引用)

その看板広告(ビルボード)は、嵐の前触れだった——。
アメリカのミズーリ州の田舎町を貫く道路に並ぶ、3枚の広告看板。そこには、地元警察への批判メッセージが書かれていた。7カ月前に何者かに娘を殺されたミルドレッドが、何の進展もない捜査状況に腹を立て、警察署長にケンカを売ったのだ。署長を敬愛する部下や、町の人々から抗議を受けるも、一歩も引かないミルドレッド。町中が彼女を敵視するなか、次々と不穏な事件が起こり始め、事態は予想外の方向へと向かい始める……。

 

主な登場人物は3人。

この物語の主人公、ミルドレッド。娘息子の2人を1人で育てていたが、娘のアンジェラが強姦殺人事件の被害者になってしまう。その後遅々として進まない捜査に不信感と怒りを抱き、アンジェラが殺害された現場(他の街とエビングをつなぐ道路そば)に、事件の未解決を訴える3枚の広告を出す。

エビング警察署長のウィロビー。人格者で街の人から慕われる中、アンジェラの事件が起き、なかなか捜査が進まない中でミルドレッドの広告で名指しされてしまう。実は末期の膵臓ガン患者で余命幾ばくもない。

ウィロビーを慕う警察官ディクソン。レイシストで短気で暴力的で、ミルドレッドの警察糾弾の行動に腹を立て行動する。実はある秘密を抱えている。

 

エビングという町は架空だけど、ミズーリ州は現実で愛称が「疑い深い町」、共和党民主党の支持率が拮抗していて、アメリカ大統領選を占う場所。

主要登場人物が、結構苛烈なキャラクターのため誇張されすぎ?とも思うかもしれないけど、だんだん受け取側の心に馴染むのは、役者の技量と監督らの演出力の賜物かつ主張が際立っているからだと思う。

実際の白人警官が黒人の市民を射殺したり、暴行したりした事件、神父による子供への性的虐待を隠蔽するカトリックへの言及があって、なによりアンジェラの事件というのが、イラクで米兵が起こした事件と同じで、実際にあったと知って嫌な気分に。

吐き気を催す邪悪とはこのことだろう。

でもこれ現実の一端でしかない。

娘をなくしてもはや失うものはないように振る舞うミルドレッドも、みんなから慕われている警察署長を糾弾する広告の掲載して、犯罪被害者遺族から街の憎まれ者になり、嫌がらせをされたり脅されたり、立場が転落するのがなんともリアルです。

 

映画としてはヒューマンサスペンスで、こういう映画では事件の解決、犯人の逮捕が重きを置かれて鑑賞されがち。

でもこの作品が巧みで本当に好きなのが、刺だらけの登場人物の心の氷塊が溶けるさまを豊かに描かれているからなんです。

言っちゃえばこの作品、犯人わからず事件としては解決しないんですよね。

公開されてから結構たってからも犯人は誰だ、実はあの人物じゃないかなんて騒がれたりしたけれど、

そこがリアルでもある。

現実こういう事件は全て解決する訳では無いし、なにより被害者や被害者遺族の心の傷が全ていえているとも言えない。

でもこの作品は時として事実や罪の影になってしまいがちな、残された人々の心の解決の始まりであり、傷ついた人が暴力という武装を脱ぎ捨てる話でもあるんです。

そこが本当に好きで好きで。

救われ始めているのがミルドレッドだけでなく、暴力の嵐みたいなディクソンも含まれてるのがいい。

2人で最後、アンジェラの事件に似た性暴力をふるった加害者を殺しにドライブするんだけどまぁなんか笑顔が爽やかで。

憑き物が落ちたディクソンも、「本当にやつを殺す?」なんて優しく聞いて、柔らかい表情になったミルドレッドも「行きながら考えましょ」なんて言って。

いやこのふたり間違いなく最強のコンビだ!

暴力性のことより、なんというか落ち込んでまた上昇しつつあった段階で、かなり精神的に繋がったんじゃないかと。

きっとこの先も困難があるだろうけどこのふたりなら互いに助け合ってそう、なんやかんや。

これだけ現実世界の問題点をあげながらもこんなに希望に溢れてるのは、もはやこの作品が祈りの楔なのよと言っても過言ではない。

映画はドライブする2人で終わりで、実際別件の加害者にどうしたかは描かれていないけれど、たぶん殺さずに終わるんだろうな、と映画を見て思いました。

まぁ息子の同級生にしたみたいに、股間くらいは蹴り上げそうだけど。

ブラックコメディー的要素もあるのでぜひ視聴してみては?

 

へレディタリー 継承(原題:Hereditary) R15指定

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監督・脚本 アリ・アスター

キャスト トニ・コレット

               アレックス・ウルフ

               ミリー・シャピロ

               カブリエル・バーン

 

あらすじ(公式サイトから引用)

グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは夫・スティーブン、高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を受け継いでいたことに気づかぬまま・・・。

やがて奇妙な出来事がグラハム家に頻発。不思議な光が部屋を走る、誰かの話し声がする、暗闇に誰かの気配がする・・・。祖母に溺愛されていたチャーリーは、彼女が遺した“何か”を感じているのか、不気味な表情で虚空を見つめ、次第に異常な行動を取り始める。まるで狂ったかのように・・・。

そして最悪な出来事が起こり、一家は修復不能なまでに崩壊。そして想像を絶する恐怖が一家を襲う。
“受け継いだら死ぬ” 祖母が家族に遺したものは一体何なのか?

この映画の感想を一言で言うと、まさしく悪い夢を見た、なんですけれども。

自分はあんまりホラーが得意な性質ではなく、かといってグロの耐性もあるわけではなく。

なんて言うか、エイリアンの襲撃シーンとかCSIやクリミナルマインドの解剖だったり犯罪シーンは大丈夫なんだけれども、とりあえずグリーンインフェルノ(カニバリズム)とかパージシリーズ(犯罪祭り)はダメ、みたいな人間です。

あ、リメイク版Itは怖がりつつ楽しみました。

そんな人間でもまぁトレーラー見てなんか、良さげだなと思ってきになったので、一期一会、物は試しとなんと1人で見に行ったんですが。

 

いやー見に行ってよかったです。

1つの家族がとある理由のために完膚なきまでに崩壊させられて行くさまをただただ眺めるだけの映画なんですよ。

ひでぇ話だ。でも面白い。

物語冒頭からもう引き込まれるてしまって。

母親のアニーがミニチュア作家で、そのアニーが作ったミニチュアの家の2階の寝室にゆっくりズームインすると、いつの間にか切り替わって息子のピーターが寝てる部屋になったりと、なにが現実と作り物の境が曖昧だったり。

だんだん物語終盤になるにつれミニチュアが不穏になるのはもちろん、これカンペキに家族誰かの支配下に置かれているって暗示だし、しかもこれ見てる私らは映画館っていう箱の中に居るし、想像力が働いて怖い怖い。

この映画そこまで大きい音とか突然○○みたいなびっくりシーンがないんですけど、やたら不安や猜疑心を煽ってきて、だんだん身動き取れなくなって来る感じなんですよね。

冷たい冷水で足元冷やされて、最初はよかったけど最後の方はもはや全身、心の臓まで冷え切ってしまった、そんなテイスト。

アニーはもともと精神的に患ってるところもあって、途中から襲う何某から家族を守ろうとするんだけれども、カウンセルの専門家の夫のスティーヴンや母親の夢遊病で恐怖させられた息子のピーターからはなかなか信じてもらえない。

そのさまがまぁアニー演じるトニ・コレットが上手くて、こちらの精神まで蝕んでくるかのようです。

他のキャストもすごくいい味出してるんだけど、やっぱりチャーリー演じるミリー・シャピロ嬢の存在感がすごい。

何が怖いって、この映画一番チャーリーが怖かった。

なんつーか殺意剥き出しとかでもなく、淡々としながらやおら鳩をもちつ、ちょきん✩とかしちゃうんですよ。

何もかも淡々。

でも淡々としてなかった時が本当に異常事態という・・・なんせ彼女もまた駒ですから。

話の肝はホラーLv1の初心者でもよくある話かなとは思ったんですけど、淡々具合と爆発具合の緩急といい、演出力にしてやられました。

まぁ何がいちばん怖いってこの映画の一部に監督の家族との実体験が含まれてるってのがね、まじもんのホラーですよ。

私の予想は起きたら枕元にたった母親が包丁持ってたってたとか、シーン終盤で裸の知らん人らに囲まれたとかだと思ってます。

それ以外だと怖くなる、私が。

悪夢必至の良作、是非ご覧になっては?

実際後悔しなかったし、すんごい寝覚め悪かったです。

でもオススメ!

アリ・アスター!!覚えたからな!!

 


うわーい!新作(あえて)たのしげで(わざわざ)あっかるーい!!

 

アベンジャーズ インフィニティ・ウォー(原題:Avengers: Infinity War)

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監督 アンソニー・ルッソ

        ジョー・ルッソ

製作 ケビン・ファイギ など

脚本 クリストファー・マルクス

        スティーヴン・マクフィーリー

キャスト ロバート・ダウニーJr

               ジョシュ・ブローリン

               書ききれない

 

あらすじ(公式サイトから)

正義とは、何か。
映画史上最大の衝撃作
6つすべてを手に入れると、一瞬で全宇宙の生命の半分を滅ぼす無限大の力を得る“インフィニティ・ストーン”。そして、その究極の石を狙う“最凶最悪”の〈ラスボス〉サノス。彼の野望を阻止するため、ガーディアンズドクター・ストレンジスパイダーマンブラックパンサーたちも集結した、最強ヒーローのチーム“アベンジャーズ”が、人類の命運を賭けた壮絶なバトルに挑む。
果たして、彼らは地球を、そして人類を救えるのか?

 

 

 

 

 

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この先本当に結末に触れています、ご注意を・・・。

 

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いやー。

 

いいバッドエンドだった!

 

アメコミの雄、マーベルが誇るヒーロー大集合映画の3作目です。

アメコミ映画と言うとなんかやたら「B級」とか「悪い意味で単純」とか「浅そう」とか言われますけど、「どうあれ面白いわ!」と声を大にして言う今日この頃です。

アベンジャーズって各作品見ても最終的にはヒーローがきちんと勝って平和をかちとりますけども、これ、ヒーロー合わせて全宇宙の生命の半分死にましたからね。

そしてラスボスであるサノスさんの「あーやり切ったわー」みたいな顔出終わりですからね。

なにいい表情してんだ丸太ぶつけんぞ

 

まぁこれアベンジャーズ、とタイトルは打ってるけれど、もはやサノスの本懐を遂げるお話しでして、キャラクター別出演時間を見るとぶっちぎり1位だし。

その出演時間で懇切丁寧になんで今までの作品で暗躍してたこの人が、宇宙各地で人口半分に減らしたり、宇宙の特異点からなったすごいパワーをもったヤバい石を集めたがってんのかハッキリします。

この人はね、宇宙全体で増えすぎた人口によって引き起こされた資源不足からくる不平等や貧困といった不幸を無くすために強制的に平等に宇宙の生命間引き隊隊長おじさんなんです。

これが悪意はないんです、めっちゃ独善的だけど。

志を持って動いてるんです、他人の意見聞かねぇけど。

やべー石手に入れるために(歪み倒した)愛情を抱いた養い子の命だって捧げるんです。

ぱっとみ、ヒーローっぽいムーヴですけど、まぁその後やることは大虐殺だから。

ぼろくそ言ってるけど、ヴィランとしてはめっちゃくちゃ魅力的なんですよね。

石を手に入れるために養女のガモーラを崖から落とすときも涙なんかほろりと流したり、しかもその時流れる劇伴が悲壮感たっぷりでまるでサノスのお気持ちに寄り添うかのようで、まぁめちゃくちゃ憎い演出されてるんですよ。

ダークナイトのジョーカーが例でよくあげられますけど、ヒーロー映画ってヒーロー以上にヴィラン(悪役)の魅力もすっごい大事で、そういう意味ではこいつ100点満点だろうと思ってます。

あと肝心のヒーローサイドですけど、主要なキャラクター30人近くいて、出演時間の差はあれどみんな見せ場あったし魅力的だったしで、よくまぁ2時間30分でこの話まとめ切ったな、やっべーなと思います(いい意味で)。

そしてバッドエンドといいつつ、エンドロール後にチラ見せしてきた新たな希望・・・!!

にくい、本当ににくいことをなさるぜMCU

私は新たな希望のキャプテン・マーベルでアホほど泣きました。

かけがえのないヒーローを失ったけど、残ったアベンジャーズとインフィニティ・ウォーには出てこなかったキャロル・ダンバースと、スコット・ラングとなによりクリント・バートンと、あとこの製作陣ならエンドゲームで勝利と平和を勝ち取っくれるんだろうな、あと映画めっちゃ面白いんだろうな、そう思います・・・。

まぁ監督のルッソ兄弟が「エンドゲームはインフィニティ・ウォーより衝撃的」とか言ってるんで、まあBIC3死ぬんかな、とか思ってます。

アメコミではよくあること。

 

長々書きましたが、しばらく時間置いてまた修正するかも?

みなさんの2018年の語り明かしたい映画はなんですか?