きっかけ
昔からものを書くのは好きで、自分のいわゆる一次創作や二次創作なんてこさえるぐらいには、頭の中のイメージを形にしようとした。
子供の頃の夢は兼業作家だったし、良い言い方ではないのだろうけど、"ワナビー"と言うやつだった。
なんならサイトも作ってたし、ブログだってやってたし・・・もはや消え入りそうな記憶なのだけど。
そんな中で書き上げきった作品って本当に片手で数える程だ。
つまり、どう足掻いても序破急それぞれの一部分しかならない。
今まできっと億の人が言ってきただろう「まず書き上げなさい」という言葉の意味がよくわかる。
ブログという形でさえ、ひとつの文章をまとめるのが難しい。
自分の中では整理されていたと思ったら、出したら全く整理されていないことなんてよくある事だ。
頭の中に浮かんでいる言葉が、いざ"文字"にすると、座りが悪いというか、ニュアンスがずれるというか、別物になってしまうこともある。
その齟齬を殺すのに時間も注意力もかなり使う。
そんな作業も一文一文書く度に何かの達成感を得られていれば、きっと幾分先に進みやすいのだろう。
しかしそんな希望とは裏腹に、手応えを得るどころか、何かをつかもうともがいても手の平には何も見えず、駄目なところに嫌でも目が行くばかり。
文に限らず何かを創造するということはかなりHPもMPも使う作業だ。
学生時代はレジュメ作りに追われそれどころでなく、社会人になって私はひとつの趣味をそっと手放した。
そして時が流れ色々あり申して。
高校以来の友人、哪吒三太子のおっかけを自称するキカくんがブログを更新したのだ。
台中~屏東 無計画旅行 -旅の準備- - 3taizi6969! -ローカル台湾を訪ねて-
タイトル通り台湾の台中を巡る旅行記。
上記は準備段階。旅行のハウツーから地元の民間信仰までカバーするこのブログ、友人の贔屓目だとしても、書籍にして流通さしても需要あるんじゃない?と思うぐらい色々網羅してて読み応えがある。
キカくんが訪れているところはあまり日本人が行くメジャーな観光地ではないらしく、同僚の台湾出身の子にどこそこに行く友人がいると伝えると「なんでぇ何の目的であそこいく?」と素っ頓狂の具現化のようなトーンで言われた。う、うーん哪吒太子・・・。
彼女と私は、いわゆるオタクで言うところの"ジャンル"の被りはほとんどない(ネオロマという乙女ゲーコンテンツにはハマったが、男性キャラクターの好みは被らなかった。しかし男性キャラクターより女性主人公や女性キャラに熱を上げるのには被っていた)。
正直中国民俗学的な何某も、私は封神演義や北方謙三らの創作止まりだ。キカくんみたいに学術書を原語で、なんてできない。
逆に私が好む海外の映画や俳優も彼女さほど興味が無い、というか何時ぞやか「(アジア以外の)外国人の顔の区別がつかない・・・」といっていた(気がする)のを書いている今思い出した。私の記憶、まじかよ。
でも確実に共通していたのは二人とも自分の頭の中を表現することが好きで、他人の表現も好きということ。
そんな訳で彼女が纏めたものを読みふけっているうちに、気がつけばTwitterで呟いてしまったのだ。
キカくんの旅行記みると備忘録というかちょっとした何かを書き綴りたくなってくる。久しぶりに
— みつのそのに (@meettwo_ver2) 2018年9月26日
私の最近の呟きの中で最も能動的な希望のある内容。
端から端まで彼女が好きなもので構成された、異国などの地で出会った事を大事に保管するために書き起こしているブログ。
そんな大事な文章を読んで、私が当てられないはすがない。
するとキカくんは呟きに反応してくれて、「アウトプットは大事」と後押ししてくれた。
彼女は私が学生時代に書いていた文章を一番読んでくれた子だ。
そこから結構な速度ではてなに登録してブログを作り、いくつかの記事を投稿した。
アウトプットは大事だ。
何回か記事を書いて昔の感覚を思い出してきた。
ひとつの形として公開するに至るには相変わらず難しいけど、出来上がって世に放つとほんのりと安心するし、肩の荷も降りるし、どこか厳かな気持ちにもなる。
自分の頭の中を整理し書くことは、どんな内容であっても自分自身ととことん向き合う作業で、精神的なメンテナンスの役割もあると思う。
ブログの記事を書く度に手応えはなくとも、どこか自分の形と軸が整って、地に足がつく、そんな気がしてならない。
内向きな効果ばかり言っているが、ちょっとだけ高尚なこともきっと言える。
私の頭の中にあるだけで終わり朽ちるだけだったこの記憶やアイデアや感情が、ひとつの文章となりネットを介することで肉体までとは言わないが8000bitぐらいの魂が宿って存在してくれるんじゃないだろうか。
そんな8000bitの魂も誰かの背中をそっと押してあげられることももしかしたらあるだろう。
いつかあればいい。
そんなことをあのブログは思い出させてくれたのだ。
きっかけなんて単純だ。
友人のブログを読んで自分もやりたくなった。
言葉にすると、それだけのことだ。