とりとめのない文章

これは心を整理するために書いたものです。

 

  

好きな俳優が亡くなりました。

結腸癌で43歳。

私が子どもの頃に伯母が49歳で乳がんで亡くなって、案外早いものねって、知ってたり知らなかったりする大人が口々に言うのが未だに忘れられなくて。

というのもあってか、"43"という年数は、数字は、本当に早いなと思わざるを得ません。

ドラマとかでちょこちょこ彼の演技を見ていて、映画で目に止まって、出演歴を眺めて「おお、あの人だったのか」ってなったのも楽しかった。

闘病しながらアクションに備えトレーニングし、演技をしという話を聞いて、公表してなかったから知らないのが当たり前とはいえ、無力感というのもおかしいけれど、打ちひしがれました。

冷静になれないので、当分出演作を見返すことが出来そうにないです。

闘病のことだけでなく、プライベートの話を他の役者と比べてもしない方なので、私以上に思い入れ深く追いかけてた方にも寝耳に水だったと思います。

報道で数ヶ月前に結婚されてたことをしり、伏せてた話が出てきてしまって、その情報を受け取ってしまっていいのかという罪悪感が湧きました。

多分まだ関連報道との距離の取り方ができていない。

 

私はアメコミ映画が好きで、彼がタイトルロールを演じた『ブラックパンサー』という映画が好きです。

いわゆるMCUという枠組みを外しても、というか多分他のMCU作品とはまた違った”好き”がある作品です。

オールタイムベストに迷わず入れます。

最後のアクションシーンに不満はあれど、そこがあっても十分完成されていると思います。

秘匿しているけれども地球上で一番発達した文明を持つ国の王でありヒーロであろうとする男の物語。

資源争いの種を撒かずに自分の国の平穏をとるか、それとも技術を駆使して平和と弱者の為に国際社会に今打って出るのか。

キャストだけでなくスタッフもアフリカ系の人が集まった黒人ヒーロー映画です。

公開当時、黒人の家族やカップルやグループが映画館のポスターの前でワカンダのポーズ取ってセルフィーをSNSにたくさんあげて喜びを爆発させてて、長い時間、黒人に望まれてた映画なのだなと感慨深かったです。

アジアの人間の自分がエンパワメントされるのだから、自分たちと同じ人種のポジティブなヒーローの登場って黒人の人達にとってはどれほどの希望だったのかと思います(以前にもブレイドというヒーローも映像化されています)。

彼はティチャラ=ブラックパンサーという人物を見事に力強く気品をもって演じきっていました。

www.youtube.com

ブラックパンサー公開時のアメリカの番組で行われたいわゆるドッキリ。

VTRを撮影すると言ってファンに作品への想いを語ってもらう、でもそのカーテンの向こうに主演がいるよ、というハッピーなもの。

今見るにはすこし心の体力を使いますが、公開当時も感動しました。

ブラックパンサー』は第91回アカデミー賞では7部門ノミネートもされてて、結果3部門とってます。

作品賞にもノミネートされてましたが受賞はなりませんでした。

当時も強く思ってたんですけど、今この段になって、やっぱり作品賞をとるべき作品とと強く思ってます。

 

logmi.jp

学校では「自分が演じるキャラクターを批判してはならない」と教えられますし、これは演技の鉄則です。さらに、どんな役でも経験に繋がります。しかし、私はとても悩んでしまいました。この役は、あまりにも私たち「黒人」への偏見に満ちていると感じたからです。

役者として黒人として、製作陣に意見を言って、結果降板されることもあったと色々な記事やインタビュー動画などで目にしました。

この世界って色んな問題を孕んでいるけれど、黒人に対する差別や不当な扱いっていうのは当前あります。

そりゃあ他の人種の扱いもよくならないわけで。

www.youtube.com

アメリカの刑務所制度における人種的差別の歴史のドキュメンタリー。

Netflixの作品ですが今Youtubeで全編無料で見られます。日本語字幕あり。

Black Lives Matterという言葉自体は2012年からあったそうです。

昨今もニュースで見聞きするように警察から黒人への暴力がずっと続いています。

亡くなったこともそうですが、多くの人をエンパワメントした彼の亡くなった時期が、人種差別に対する抗議デモが頻発し、それに対する心ない冷たい反応、そして暴力が吹き上がるどころか吹きこぼれて煮詰まった有様のこの時期だということもすごく辛いです。

 

文章としてはまだ取り繕う事はできるけど、この件を口に出そうとするととても不安定になります。

自分でもちょっと情緒がおかしいなという自覚があるので、しばらくは自発的に話題にする事は避けようと思います。

DC映画の看板ヒーロー映画のこれまた看板ヴィランを演じた役者が亡くなったときも、かなり引きずりました。

多分今回も時間がかかるとは思いますが、これで自分の中で一旦「区切る」という行動を取りたいと思います。

 

Rest in Power, Chadwick Boseman. Thank you.